2024/11/03 05:49
最近は哲学ブームと言われています。
身近なところでは「哲学カフェ」なる対話の会が日本各地で100か所以上開催されています。
そんな人気の哲学ですが、哲学ブームの開祖といわれる哲学者・井上円了先生をご存じでしょうか?
井上円了(1858-1919)は、日本の哲学者であり教育者です。
彼は「哲学を広め、人々の思考力を育てる」ことを使命とし、東洋思想と西洋哲学を融合させることに尽力しました。
特に怪異や迷信に科学的なアプローチを持ち込み、合理的な思考の普及を目指しました。
1904年には哲学堂を創設し、哲学的なテーマを取り入れた庭園や建築物を通じて哲学の普及を図りました。
井上円了は、日本における哲学の発展に貢献した先駆者であり、今も多くの人に影響を与えています。
その井上円了を偲ぶお祭り「哲学堂祭り」が、東京都中野区にある「哲学堂公園」で2024年11月2日に開催されました。
このお祭りは、哲学堂の創設者である井上円了先生を偲び、その功績を讃えるために毎年11月の第一土曜日に行われています。

この写真は井上円了先生のお墓で、夏に撮影しました。「井の上に円」というアイディアは井上円了先生が自ら考案したのだそうです。
まず、哲学堂について簡単に紹介しましょう。哲学堂は、明治時代の哲学者・井上円了先生が1904年に創設した公園です。
彼は「哲学をもっと一般の人に身近に」という思いで、哲学的なテーマを盛り込んだ庭園や建築物を設計しました。
園内には宇宙館・絶対城・六賢台など、哲学的な意味合いを持つ堂や塔が点在し、訪れるだけで心が清められるような空間です。
哲学堂公園そのものが、静寂の中に哲学的なエネルギーが満ちた空間です。敷地内を散策するだけで心が安らぎ、普段の喧騒を忘れさせてくれます。
さて哲学堂祭りですが、まず哲学堂公園の隣にある蓮華寺での法要、墓参から始まるのですが、一般公開されていません。
私は一般参加なので、そのあとから始まる哲学堂祭から参加しました。
開会式の行われた四聖堂には釈迦涅槃像が安置されています。

お釈迦様の安らかなお顔です。

お釈迦様と井上円了先生が向かい合っていらっしゃいます。
1.講演会
毎年、孔子、釈迦、ソクラテス、カントの「四聖」を順番に題材として取りあげています。
今年は釈迦ということで、東洋大学文学部の堀内俊郎さんによる「般若心経を読み返す インド・チベットの注釈から」としてお話しされました。
とくに面白かったのは般若心経の『空』とは存在しないことであって、『無』は見られないことであると、いつも混同しがちな『空』と『無』両者の違いを説明していただきました。
また井上円了先生の『護国愛理の一念より、なんとかして仏教を活かし、その光をして日本全国を照被するのみならず、世界万国を輝かしめたき衷心より出であるもの』との言葉が印象的で、感動しました。

宇宙館での講演。2024年は東洋大学文学部の堀内俊郎さんから般若心経を学びました。

宇宙館には聖徳太子像があります。聖徳太子様の前で般若心境を学べる素敵な体験でした。
2.飲み物の提供
参加者には甘酒、珈琲、紅茶が提供されました。
なかでも目を引いたのは、東洋大姫路高校生徒さんによる甘酒です。
普段から健康や若々しさを維持するために甘酒をよく飲んでいる私は、もちろん甘酒をいただきました。
砂糖も添加物も使わない製法で、すごくこだわって作っているとのこと。たしかに甘さだけでごまかさない味わい深さがありました。

東洋大姫路高校の生徒さんによる甘酒。砂糖や添加物を使わない自然のおいしさでした。